年度末になってから1年分の領収書を集める、お客さんの対応中に鳴った電話に手を止めて出る、紙の予約台帳を見ながら空き時間を確かめる。個人で仕事をしている方やお店を開いている方にとって、こうした作業は本業の合間に毎回発生します。
一つひとつは小さな作業でも、忙しい時期ほど重なり、書き間違いや聞き漏らしの心配も増えていきます。
ここで言う「自動化」は、毎回同じ手順でしている作業を、道具や仕組みに任せて手を動かす回数を減らすことです。
この記事では「確定申告」「予約電話の対応」「予約管理とダブルブッキング」の3つについて、今のやり方と、道具に任せる方法を順番に紹介します。
1. 確定申告(事業)を自動化する
どんな困りごとか
個人事業主やフリーランスの方にとって、確定申告は毎年必ずやってくる作業です。
本業が忙しいと日々の記録が後回しになり、申告の時期が近づいてから1年分をまとめて片付けることになりがちです。
控除や書類の書き方に自信がなく、申告書を作る段階で手が止まってしまうという方も少なくありません。
今のやり方
多くの方は、年度末に通帳やカードの明細、保管しておいたレシートを集め、表計算ソフトやノートに1件ずつ書き写しています。
そのうえで、集計した数字を申告書の欄に転記するため、件数が多いほど時間がかかり、転記ミスにも気を配る必要があります。
自動化の方法
考え方は、年度末にまとめて作るのではなく、日々の取引が自動で帳簿に入り、その帳簿から申告書を作る流れに変えることです。
- 事業用の口座とカードを分ける:仕事のお金の出入りを1つの口座とカードにまとめると、取り込んだ明細の仕分けがしやすくなります
- 明細を取り込む:会計ソフトに銀行口座やクレジットカードを登録し、明細を自動で取り込むようにします
- 現金の分だけ撮る:現金で払ったレシートはスマホで撮影して記録し、紙を持ち歩いてためないようにします
- 月に1回確かめる:取り込まれた取引の仕訳が合っているかを月に1回見ておくと、年度末の作業が軽くなりやすくなります
- 申告書は画面の案内で作る:1年分の帳簿がそろったら、ソフトの案内に沿って申告書を作り、電子申告(e-Tax)まで進めます
使う道具の例
道具は、個人事業主向けのクラウド会計ソフトです。選ぶときは次の観点が目安になります。
- 申告の種類:青色申告か白色申告か、消費税の申告が必要か。消費税申告は上位のプランだけ対応している場合があります
- 試し方:無料で試せる期間があるか、試すときにクレジットカードの登録が必要か
- 手伝ってもらえる範囲:電話やチャットでの相談、入力作業そのものを任せるプランがあるか
「freee会計」は、銀行やクレジットカードの明細の自動取り込み、確定申告書の作成、見積書・請求書の作成ができ、スタンダード以上のプランでは消費税申告にも対応していると公式サイトに書かれています。スタータープランは年払いで月あたり980円(税抜)で、30日間の無料お試しはメールアドレスだけで始められると案内されています(2026年10月時点・公式サイト)。
「マネーフォワード クラウド確定申告」は、青色・白色の申告書作成と電子申告、明細の自動取り込み、レシート撮影に対応しています。パーソナルミニは年払いで月あたり900円(税抜)で、1か月の無料トライアルはクレジットカード不要、終了後に有料プランへ自動では切り替わらないと書かれています(2026年10月時点・公式サイト)。2026年12月に料金体系の一部改定が予定されているため、最新は公式サイトでご確認ください。
「やよいの青色申告 オンライン」は、明細の取引をAIが自動で仕訳し、画面の案内に沿って申告書を作れるソフトで、どのプランも機能は同じでサポートの範囲が違うと案内されています。
2. 予約電話の対応を自動化する

どんな困りごとか
飲食店では、仕込みや調理、接客の最中に予約の電話が鳴ることがよくあります。
少人数で回しているお店ほど、電話に出るたびに作業が止まり、目の前のお客さんを待たせてしまいます。
営業時間外や混雑時に出られなかった電話が、そのまま予約の取りこぼしになることもあります。
今のやり方
多くのお店では、電話が鳴るたびに手を止めて出て、日時と人数、名前と連絡先を聞き取り、予約台帳に書き込んでいます。
グルメサイトから入る予約は別の画面で確かめることになり、予約の入り口が増えるほど確認の手間も増えます。
自動化の方法
予約は電話以外の入り口に移し、それでもかかってくる電話は自動応答で受けるという2段構えにします。
- ネット予約の入り口を作る:お店の予約ページを用意し、お店のサイトやSNS、地図アプリの店舗情報に載せます
- 予約を一か所にまとめる:グルメサイトや電話から入った予約を、同じ台帳で見られるようにします
- 電話は自動応答で受ける:よくある質問(営業時間・場所など)は音声で案内し、予約は自動で受け付けるか、ネット予約の案内をSMSで送ります
- 人が出る電話を絞る:団体予約や相談など、人が話したほうがよい用件だけを転送や折り返しで受けるようにします
使う道具の例
道具は、ネット予約と予約台帳の仕組み、そして電話の自動応答サービスです。選ぶときは次の観点が目安になります。
- 予約の入り口の数:電話・自店のネット予約・グルメサイトの予約をまとめて管理できるか
- 電話の受け方:自動音声で予約まで受けるのか、内容を録音・文字起こしして後で確かめるのか
- 費用の内訳:月額のほかに、電話番号の維持費や通話料、端末(タブレットなど)が必要か
「トレタ予約台帳」は、予約と顧客の管理、店ごとのネット予約ページの作成、グルメサイトとの連携ができ、オプションで電話予約向けのAI自動音声機能もあると公式サイトに書かれています。料金は公式サイトに掲載がなく、お店ごとに聞き取りをして提案する形です。
「IVRy(アイブリー)」は、AIが電話を受け付け、予約台帳との連携やSMS送信、通話の録音・文字起こしができるサービスです。着信30件までのフリープラン(0円)があり、電話番号の維持費と通話料は別と案内されています(2026年10月時点・公式サイト)。
LINEから予約を受けたい場合は、次の節で紹介するLINE予約のシステムも候補になります。公式サイトで挙がっている対象業種はサロンや治療院などが中心のため、飲食店で使えるかは無料トライアルで確かめてみると安心です。
3. 予約管理とダブルブッキングを自動化する

どんな困りごとか
美容室やネイル、まつげ、エステなどのサロンでは、施術中に予約の連絡が入ることが多くあります。
紙の台帳と電話で受けていると、別のスタッフが同じ時間に予約を入れてしまうなど、ダブルブッキングの心配がついて回ります。
お客さんにとっても、営業時間内に電話をかけないと予約できないのは不便です。
今のやり方
多くのサロンでは、電話やメッセージで予約を受け、紙の予約台帳に書き込み、空き時間を見ながらやり取りしています。
変更やキャンセルのたびに台帳を書き直す必要があり、来店前の確認の連絡も手作業になりがちです。
自動化の方法
予約の受付と台帳を1つの予約システムにまとめ、空いている枠だけをお客さんが選べるようにするのが基本の形です。
- メニューと枠を登録する:施術メニューごとの所要時間と、スタッフや席ごとの空き枠を予約システムに登録します
- 24時間の受付にする:お客さんがネットやLINEから空き枠を選んで予約できるようにし、電話の予約も同じシステムに入れます
- 確認の連絡を任せる:前日のリマインドや予約確定の連絡を、自動のメッセージで送るように設定します
- 紙の台帳は少しずつ移す:すでに入っている予約は、切り替え日を決めてシステムに移し、しばらくは紙と並べて確かめます
ポイント
ダブルブッキングは、予約の入り口が複数あって別々に管理しているときに起きやすくなります。電話で受けた予約も必ず同じシステムに入れる、と決めておくことが大切です。
使う道具の例
道具は、サロン向けのネット予約システムです。選ぶときは次の観点が目安になります。
- お客さんの予約の仕方:LINEから予約してほしいか、予約ページやGoogleなどから受けたいか
- お店の規模:1人で運営しているか、スタッフが複数いるか。規模で料金が分かれているものがあります
- 自動の連絡:リマインドや、来店後のお礼・次回のご案内などを自動で送れるか
「リピッテ」は、LINEで予約を受け付けられるシステムで、アプリのダウンロードやログインなしでお客さんが予約できるLINEミニアプリに対応しています。カルテ・会員管理やGoogleカレンダー連携のほか、オプションで来店から何日後・誕生日などに自動でメッセージを送る配信もできます。個人利用は月1,980円、店舗利用は月7,980円(いずれも税別)で、最大1か月間の無料トライアルがあると公式サイトに書かれています(2026年10月時点・公式サイト)。
「Airリザーブ」は、24時間の予約受付と、電話・ネット・直接の予約をまとめた管理ができ、月額0円のフリープランがあります。「STORES 予約」も、自動の予約受付とリマインド、LINEミニアプリ連携に対応し、月間予約50件までのフリープランがあると案内されています。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
自動化を始める前に気をつけたいこと
- 口座やカードの情報:会計ソフトに口座をつなぐときは、公式のサイトやアプリから登録し、二段階認証などのログイン設定を有効にしておきます
- お客さんの個人情報:予約システムや電話の録音には、お客さんの名前や連絡先が残ります。スタッフの誰が見られるか、録音することをどう伝えるかを先に決めておきます
- 無料期間と更新:無料のお試しには、終了後に有料へ自動で切り替わるものと、切り替わらないものがあります。最低の契約期間があるサービスもあるため、申し込む前に更新と解約の条件を確かめます
注意
料金やプラン、使える機能は変わることがあります。この記事の内容は2026年10月時点で公式サイトに書かれていた内容です。申し込む前に、最新の内容を公式サイトでご確認ください。
よくある質問
確定申告の直前からでも、会計ソフトを使う意味はありますか?
口座やカードの明細を後からまとめて取り込めるソフトであれば、直前からでも書き写す手間を減らしやすくなります。取り込める期間はソフトや金融機関によって違うため、無料のお試しで確かめてから進めると安心です。
電話の自動応答にすると、お客さんに冷たい印象を与えませんか?
気になる場合は、最初の案内で用件を選んでもらい、相談や団体予約などは人が折り返す形にする方法があります。よくある質問と予約だけを自動にして、話したいお客さんにはつながる道を残しておくと受け入れられやすくなります。
予約システムに切り替えると、常連のお客さんが困りませんか?
しばらくは電話での予約も受けながら、受けた予約をお店側でシステムに入れる形にすると、お客さんの予約の仕方を急に変えずにすみます。来店時に予約ページやLINEの案内をお渡しして、少しずつ移ってもらう方法もあります。
3つのうち、どれから始めるのがよいですか?
個人で仕事をしている方は確定申告、お店で電話に手を取られている方は予約電話、予約の重なりが気になるサロンは予約管理と、いちばん負担を感じている作業から1つ始めるのがおすすめです。
まとめ
この記事のポイント
- 確定申告は、事業用の口座とカードを会計ソフトにつなぎ、日々の明細を取り込んで、その帳簿から申告書を作る
- 予約電話は、ネット予約の入り口を作って電話そのものを減らし、残る電話は自動応答で受ける
- 予約管理は、受付と台帳を1つの予約システムにまとめ、電話で受けた予約も同じところに入れる
今日ひとつだけ試すなら、事業用のカード1枚を会計ソフトの無料お試しにつないで、明細が自動で入ってくる様子を見てみるのが始めやすい一歩です。
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